京都に行ってきた前編

研修で京都に行ってきました。一泊で。
よーし!今回は無駄に気合い入れて雑誌に載ってるような紀行文っぽく書いてみるか(ぅ


 まさか朝から走ることになるとは思わなかった。
 今日は研修のために京都へ向かうことになっている。
 新名神開通によってこの3月から四日市と津から新たに高速バスが運行されることになり、今回はそれに乗ろうという寸法だ。しかし見誤ったのは乗り場だ。我らが近鉄四日市にはバスターミナルが3カ所あり、待っている横を無情に通り過ぎるバス。
 幸いなことにそれは到着前だったので全力疾走によって事なきを得た。バスは新しく、鉄道の新車の定番となった電光掲示板が後付けではなく埋め込まれている。最後部にあるトイレは真空式で、まるで秘密基地のような雰囲気がある。
 駅で7人の乗客が乗り込み、自らも車中の人となる。皆、独り客で年代も様々。と思っていたら生桑車庫でおば様ご一行が賑やかに待っていた。この路線ができたことによって京都へは鉄道より安く行けるようになった。名古屋から新幹線で向かうことに比べて時間もそう変わらない。むしろ津からなら早いくらいだ。
 生桑車庫を発車すると高速に乗って鈴鹿を過ぎるといよいよ新名神だ。と言っても既に乗った身としてみれば新鮮味は無いのだが・・・。途中で土山サービスエリアの停留所に立ち寄るが、乗降客はいない。そもそも、ここに需要があるかが当初から疑問に思っているのだが。
 土山から草津を越えて名神に入る。乗り心地で道の質が明らかに変わったことが伺える。高速道路を降りて、降車客がいなかった京阪五条を通過。定刻より3分ほど早く八条口バスターミナルに到着した。
 途中で雨が少し降っていたが、なんとか今は降っていない。どうやら傘の出番は無いようで安心した。研修の行われるホテルはバス停のすぐ目の前なのだが、京都の地下鉄には乗ったことが無いので丸太町まで乗る。バスはICOCA使えないしね!
 やってきた京都市交通局10系に乗りこむ。どこか親近感があるな、と思ったら寸法が近鉄と同じじゃないか。危うく忘れるところであった。丸太町という名の駅は京阪にもあるが、これより1km弱も東にある。これも京都ならではだが、来年には京阪の丸太町が「神宮丸太町」に改称される予定である。
 その地下鉄丸太町から京都府庁の前を抜けて堀川沿いへ。ここにホテルがある。道は迷わず行けたのだが、誤算だったのはあれだけ厚い雲が消え去って日差しの激しいこと。お陰で研修の前からぐったりだ・・・。






 研修が終わった19時過ぎ。こんな時間から暇を持て余していては京都に来た意味が無い。思案の末、誰かを巻き込めない、一人だからこそ出来ることをやろうと決めた。それは京都市営地下鉄の完乗だ。これはまず誰目つきあってくれないだろう。
 まず丸太町まで行き、烏丸線の北の終点である国際会館へ向かう。やってきた車両は近鉄の3200系だ。実は南側の竹田で近鉄に乗り入れおり、奈良まで向かう列車もある。しかし生憎、この折り返しは竹田止まりであった。

 京都市営地下鉄は2路線がある竹田からもうひとつの東西線へ戻ってから東西線を端から端まで乗るのでは効率が悪い。そこで竹田から近鉄で2駅南の丹波橋へ向かう。この駅では京阪に接続している。
 京阪に乗れば東西線の終点に辿り着くのでかなり効率が良い。やってきたのは京阪が誇るK特急。ダブルデッカーテレビカー。これが特別な料金無しに乗ることが出来るのだから関西の私鉄はアツイ。


 2階席が空いていたので陣取ってみたものの、K特急は伏見桃山を通過してすぐに中書島に到着。向かいのホームに停車中の宇治線に乗り換える。ほうじ茶色の電車から抹茶色の電車へ、それなりの乗客が乗り換えて席はすぐ埋まってしまった。乗り込んだのは主力のひとつである2600系。天井には扇風機と見間違うクーラーが付いている。
 この頃から空には稲光が走り、豪雨が降り出してしまった。やはり京都の空模様だ。先程の軽快な走りから一転、宇治行きは今の湿度のように重々しく走り出した。
 ほどなく目的の六地蔵に着いたが、まだまだ時間があるので終点の宇治まで行ってみた。雨もまだ激しいので降りたくないというのが本音なのだが。
 激しい雨と霹靂の中、電車は家々の軒先をじっくり走り抜けていく。途中でJR奈良線と出会う。黄檗駅などはすぐ近くに互いの駅があるにも関わらず乗り換え案内は無い。実際に乗り換えるには少々不便なようだが。
 三室戸を出ると速度が上がらぬまま終着の宇治駅に着く。1面2線の綺麗な駅だ。改札口はトンネルのようなユニークな形をしている。最後まで乗っていた十数人の乗客は足早に雨の中へと消えていった。

 こちらは情緒に浸る間も無く踵を返して反対側に止まっている電車に乗り込んだ。片手で数えられるほどの乗客を乗せて電車はゆっくりとホームを離れた。
 再び六地蔵に着いた。地下鉄との乗り換え案内はあったが、ここでもJRの事は全く出てこない。この時には小降りになり、持ち合わせた折り畳み傘でも大丈夫だ。地下鉄の六地蔵山科川を越えて5分弱は歩かなければならない。JR六地蔵駅の方が地下鉄には近い。地下鉄まで迷わないか心配だったが改札口や道中にも案内板があり、まず迷うことは無いだろう。
 地下鉄東西線六地蔵駅は新しく延伸された駅なので構内も綺麗だ。ホームドアも設置してあり、京都らしい発車メロディーも流れる。北向きに走っていた東西線が山科を過ぎて京阪大津線とも合流すると線路は西へと進路をとる。京阪大津線は地上に出ると路面電車にもなる実に面白い路線だ。
紫式部源氏物語を執筆した場所とされる石山寺まで行けば良い散歩になるだろう。この天候では些か厳しいが・・・。
 東西線三条京阪京都市役所を過ぎ、烏丸線との乗り換え駅である烏丸御池、二条城などを過ぎるといよいよ終点の太秦天神川に近づく。これで京都市営地下鉄は全て乗ったことになる。地下鉄なので景色は全く見えなかったので達成感はそれほどでもないのが残念だ。
 ここからまた二条城まで戻り、夜の二条城を横目に堀川沿いをホテルへと戻る。気づけば時計の短い針は11を示そうとしていた・・・。